みんなのDXプロジェクトから、新規事業会社が誕生。

グループ力を活かし、
市場を創り続ける企業でありたい。

対談

プラス株式会社 代表取締役社長 今泉 忠久

タベレル株式会社 代表取締役社長 奥田 浩士

プラスでは、2020年未来戦略プロジェクトとして「みんなのDXプロジェクト
*」を始動。そのプロジェクト
の一つ「次世代コアビジネス創造プログラム」から2023年に誕生したのがタベレル株式会社です。

今回は、新規事業会社誕生の経緯や描いているビジョンをお二人に伺いました。

写真左:奥田 浩士 写真右:今泉 忠久

撮影場所:プラス株式会社 虎ノ門本社

今泉忠久氏と長崎忠雄氏のお写真

思い描いたことに挑戦できる、
創造力が働いて新しいビジネスが生まれる会社へ。

次世代コアビジネスプログラムを
立ち上げた経緯とは。

今泉

プラスはグループの拡大とともに事業も多角化してきたが故に、トップダウン型の事業アイデアの創出には限界を感じています。市場の激しい変化を敏感に感じ取る、現場からの発想が最も重要だと思っています。ですから「困っている人がいる」、「社会のためになる」など現場から声を上げてほしい。それに対して判断するのが経営者の仕事です。トップダウン型からボトムアップ型へ逆転現象を起こしたくて、みんなのDXプロジェクトの一環として「次世代コアビジネス創造プログラム」を立ち上げました。

みんなのDXプロジェクトは、次世代コアビジネス創造プログラムとシステム開発の両輪です。タベレルもお客様の顧客情報をデジタル管理していますが、それによって顧客毎の冷凍食品のマーチャンダイジングが可能です。システムやオペレーションが障壁にならない世界。それを実現するためのベース作りがDXです。自分が思い描いたことが気軽に、ローコストでスピーディにできる環境であれば、色々な創造力が働いて新しいビジネスが生まれる会社になると考えています。最新のテクノロジーによって、やりたいことができる会社だと社員の皆さんに思ってほしいです。

奥田社長がプログラムに
参画しようと思ったきっかけは。

奥田

プラスに入社以降、オフィス家具の設計から流通チャネルの商品開発、オフィスチェアの開発など多様な職務に携わりました。どのカンパニーも「ユニークネスの追求」を掲げ、新しいことや面白いことをやろうとする気風があり、生活者視点で何かやりたいと思っていたのでチャンスだと思い次世代コアビジネス創造プロジェクトに手を挙げました。応募者は色々なカンパニーから集まり、20案近くあった企画の中から絞り込まれたテーマが食です。元々、個人的に職場内でのランチ環境に不満を感じていたこともあり、私のアイデアが最も具体性があったことから、自然発生的にグループリーダーになりました。さらに、私が社長になるとは思っていなかったので、家族も驚いていましたね。

事業化する上で悩んだのは、プラスがやる意義です。飛躍しすぎず、既存事業の延長でもない。前例がなかったため落としどころが大変でしたが、今泉社長から「今の事業と未開拓地の間、階段でいう踊り場をイメージとして考えては」とアドバイスを頂き、「食を通して働く人を幸せにする」という軸が明確になったことで推し進めることができました。

今泉忠久氏が話している様子

新規事業として、最終的にタベレルを
選択した理由は何ですか。

今泉

最終的にこの事業に投資したいと思ったのは、誰の困りごとを解決したいのか、ターゲットが明確だったことです。奥田社長が言う「食」×「働く人を幸せにしたい」。既存事業に対して食の切り口は意外でしたが、法人のお客様が多いプラスとしてはBtoB向けの食の提供に意義を見出しました。ランチ難民の問題や食に対する健康志向の高まり、また、最新の冷凍技術にも可能性を感じました。食の販売は過去に外部サービスの取り扱いをやったことがありますが、その頃に比べて冷凍技術が飛躍的に進化している。「事業への熱意」と「最新のテクノロジー」の化学反応はイノベーションの鍵です。勿論、タイミングも重要で、オフィスの食に関するサービスを提供する会社が増えてトレンドになっていますね。

タベレルの立ち上げにおいて、
苦労した点はありますか。

奥田

メンバー間でビジョンの共有はできていましたが、初期メンバーと事業化が決まってから集まったメンバーとの間で考えのズレが生じることはありました。どこまで指示していいのか、トップダウンとボトムアップのバランスは常に模索しています。ただ、社内公募による参加メンバーなので、皆、積極的でそれぞれの専門領域に長けています。頼るところは頼り、言いたいことを言い合える関係性は早い段階からできていました。話しやすく互いを思い合える人柄、そこはプラスの社風かなと思います。常にメニューを増やしていく必要があるのでオフィス内で試食会をよく実施していますが、周囲から「いつも楽しそう」と言われますね。

今泉

会社が置かれているフェーズにもよりますが、まだベンチャーなので社長はマルチプレーヤーとして何をやってもいいと思います。忙しければ一緒に現場で対応し、利益がついてきたら現場に任せて方向性を示す。専門職が集まったタスクフォースですし、今はメンバー一人ひとりの成長を支援するサーバントリーダーシップが求められる時代ですから。

今泉忠久氏と奥田浩士氏が話している様子

タベレルをカンパニーに融合せず
子会社化した理由とは。

今泉

既存の社内カンパニーに新規事業を融合させるのは経営者の立場からすると安心です。けれど、その事業自体がうまくいっているのかが分かりづらいデメリットもあります。新規事業として遂行するのであれば、独立した会社として損益を見る。数字が見える分、メンバーにも責任が生まれます。一人ひとりが経営マインドを持ちながらPDCAを自分たちで考え、駄目なら修正する。プラスがバックアップできる体制の中で苦しいこと、ベンチャースピリットを体験してほしくて子会社化しました。一方で、マーケティングを実施したい時や人手が足りない時には親会社をうまく使う。それこそがグループの強みであり、今後も社員のやりたいことを適えられる会社でありたいです。

新しい価値を創造するために
意識すべきこととは。

今泉

私が心掛けているのは消費者視点に立つことです。コンビニにも一人でよく行きますが、何時頃混むのか、他の方が手に取った商品をなぜ戻したのかなどを観察しています。自分が嫌だと思うことはきっと他の人も嫌だろうし、大多数が思うことを自分も思うだろう。常に内にいる自分と会話をしています。そうすると、自分が嬉しいと思うことを事業展開するとうまくいくわけです。タベレルにアドバイスする時も完全に消費者としてです。そういった普通感、現場感を大切にしています。「売上はお客様の支持。利益は我々の知恵」とよく言っていますが、売上が足りない時はお客様からの支持が足りない、利益が出ない時は我々の知恵が足りないんです。社員にはお客様にどう使ってほしいか、仮説でいいので市場と連動して考えてほしい。その価値はいくらなのかを常に考える習慣を持ってほしいですね。

タベレル事業を通して
叶えていきたいこととは。

奥田

今は「おいしかった」と喜んでもらえるのが一番嬉しいです。プラス社内の初対面の人から感想など、気軽に声を掛けられるようになりました。タベレルが社内のコミュニケーションの活性化にもつながっていると実感しています。会話のきっかけになり、オフィスに来たくなる仕掛けの一つとして、今後も行列のできる店や人に教えたくなるものなど、さまざまな商品をお届けしたいですね。タベレルを通して企業のエンゲージメントを高めるお手伝いをするとともに、働く人たちをハッピーにしていきたいです。

長崎忠雄氏が話している様子

プラスのDNAとは。
プラスのありたい姿とは。

今泉

プラスは文具の卸売からスタートし、今では文具やオフィス家具のメーカー、流通など、創業時とは事業形態が大きく異なります。会長から「創業者が天国から今のプラスを見た時、自分が創った会社とは全く違うと言うだろう。私もそう言いたいし、そうあるべきだ」とよく言われます。つまり生業を変えていけと。時代によって変わることが重要であり、それがプラスのDNAです。とはいえブレない軸は必要で、それがプラスの企業理念「新しい価値で、新しい満足を。」です。顕在ニーズではなく、潜在ニーズから市場を創ること自体を生業としていく。文具やオフィス家具を探究する一方で、新しい市場を創る会社でありたいです。市場を創るために、とにかく市場を見て、そしてお客様を知ること。潜在ニーズを自分たちなりに感じ取れる会社であり続けたいと思っています。生業がどんなに変わろうともユニークであり続ければ、企業理念に共感して入社された方とはずっと一緒に仕事ができると思いますし、共に価値を創造することができると信じています。

ONEプラスとして
グループの強みとは。

今泉

プラスグループは事業が多岐に渡りますが、いい意味でバラバラの方向を向いています。月に一度グループ経営者会議を行いますが、ここは各々が困りごとなどを共有する場でもあります。例えば、メーカーと取引先の立場でグループ会社の課題と向き合い、互いのメリットも考える。当事者では気づかないことも、第三者だから言えることがあり、そこに気づきや新しいアイデアがある。これはプラスグループの強みだと思います。同じ方向を向き過ぎると競争になってしまいますが、立場が異なるのでフラットな視点で意見が言い合える。同じ方向を向いていなことこそが、ONEプラスであり、新しいグループの在り方かもしれませんね。

[タベレル株式会社]

“健康”や“ご当地”をコンセプトに、安心・安全でカラダに良い本格テイストの食べ物を冷凍した状態で定額配送する「食の福利厚生サービス」です。オフィスにいながら全国各地のおいしい食べ物や健康に配慮した食事をとることができ、さらに従業員満足度の向上や社内コミュニケーション活性、魅力的な職場づくりを実現します。最新の冷凍技術で出来立てのおいしさを保つことができ、賞味期限も長いため、フードロスの削減にも貢献します。

タベレル株式会社ロゴ

*みんなのDXプロジェクト:2020年12月に社長自身がプロジェクトオーナーとして立ち上げたプラスの未来戦略プロジェクト。デジタル技術を駆使し、システムだけでなく、組織、業務、
社員の意識、カルチャーに至る会社全体を、競争優位を生む姿(アスリート体型)に変革することを目指しています。「次世代コアビジネス創造プログラム」ほか複数のプログラムを推進。